こちらの続きから。
pochihiko-inunosuke.hatenablog.com
阿多田島という島で24時間、自給自足と釣りを行うというイカレポンチな釣行に繰り出した僕たち。
正午の時点で食事はムラソイ4匹(大人二人)という状況で第一部が終わったよ、という流れである。
さてさて、昼からの動きとかその辺はどうなったのか?劇的なサムシングは巻き起こったのか?
第二部、チェケラ!
希望の煌めき。
水面は激しく揺れている。寒波の影響か、風が強く、気温もそんなに上がらない状況が続く。
状況が伝わるだろうか。時たま車に乗って暖を取りつつ、投げ竿をほったらかすので精一杯。
餌も投入時の状態そのままで戻ってくるなど、活性も極めて良くない。
やや諦めムードのなか、ふと内湾を見つつ散歩をしていると・・・。
これまた写真に撮るのを忘れるくらいテンションが上がる出来事が。
5㎝くらいのアジみたいな体型の魚の群れがやってきとる!!
しかも、水面を何かミクロサイズの生き物がチャピチャピしてて、そいつ等を追っかけて食いおるやん!
狂気に満ちた声を上げつつ、トリップしたかのような半笑い状態で急ぎ仕掛けを作る僕たち。
撒き餌を投下し、散らないように仕向け、急ぎキャスト。
今度こそおさかなを腹いっぱい食べるのだ!鼻息荒く僕たちはサビキウキを見つめていた・・・。
1時間後。
・・・タバコ、美味しいなぁ・・・。
僕たちは爆風に煽られながら空に立ち上る紫煙を眺めつつ、それ以外の思考を停止していた。
あれからしばらく粘るも、反応は皆無。サビキ仕掛けを避けて泳がれる有様で、心を見事にへし折られた。
ちなみに僕はこの時大体、総起床時間が24時間を超えたため、行動も思考も色々とおかしくなっていたことだけは覚えている。
余談だが、帰りのフェリーで船員の人にこのことを訊いてみると、
「多分コッパ(スズキの稚魚)じゃろうて」と、すり潰したようなドスの効いた声で謎を解いてくれた。
んで、帰る間際に水汲みバケツで海水を汲んで気付いたのだが、ヤツらのベイトは5mmくらいのヨコエビだった。
ホワイトカラーのソフトルアー使っとけばよかったかもな。次はこれを活かすとしよう。
空腹と飢餓の境目にて。
時は流れ日没前。
ものの見事に干潮だ。
お腹空いたな。魚は釣れてないけど、お腹空いたな。
余りにも食に飢えた結果、餌として持ってきたモエビタエビが美味そうに見えてきた為、人間を捨てる前に僕たちは別の食材を採集することに決めた。
岩をひっくり返したり、壁からむしったり、色々やって・・・。
カメノテとアオサ(多分)を手に入れたのである。
そういえばこの島には、大量にアメフラシというウミウシの仲間がいたのだが・・・。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%B7#.E9.A3.9F.E6.9D.90
これ食べたら島でガイコツとなりそうだったため流石にやめといた。
つーことで夕飯。
貴重な真水を熱する。カメノテとアオサ(きっと)は既に投下済み。冷たい状態から茹でた方が、貝は身が取りやすくなるらしい。
さて、熱しながら、サラダ油適量、塩コショウ適量、醤油少々で味を調える。
余談だが、隠し味として投入したサラダ油の醸し出すコクは絶品であった。僕らの味覚が架空の旨味を感じただけなのかもしれないけど。
食中毒が怖いので、しっかりと沸騰させ、 味噌を加えて完成。
カメノテの味噌汁。
まずは行儀など無視し、豪快に音を立てて汁をすする。
う・・・美味い・・。
旨味も温かみも、五臓六腑に染みわたる・・・。
身体の細胞全てが、競って味噌汁を吸収しようとしているかのような感覚だった。
誇張無しで、高級寿司店の味かと思ったくらいである。高級寿司店なんて行ったことないけど。
そしてカメノテもまた美味しい。
ツメっぽい部分の下、鱗っぽくなっている部分を上手いこと取り除くと・・・。
右手親指あたりに見えるような、小さい赤貝みたいな身が取れる。
味はエビとカニを足して2で割った感じ。
2人で無心の中喰らって喰らって喰らいつくした。アオサ(おそらく)も歯応えが良くて美味かった!
約10分後。
阿多田島の自然と、磯の生命に感謝し、夕飯を終了。ご馳走様でしたと合掌する僕たちの手に、再び力が戻ったように感じた。
冷えた体に、温もりが戻ってきた。なんかまだ、俺達頑張れそうだ!
ここから少し時間が流れ、夕日が沈むころになれば、いわゆる夕マズメの時間になる。
魚の活性が高まる時間帯であり、いわゆる勝負所だ。
既に準備は整えた。
僕は胴付仕掛けを、友人はサビキと投げを用意し、夕マズメの絶好機へ、そして後に訪れる闇の時間帯へ、僕たち二人は備えるのであった。
時に島へ渡って11時間が経ち、僕の総起床時間が28時間を超える頃であった。
続く。
次回、メモリアルな100記事目にして、このシリーズ完結す!
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