僕は釣りに関して、固定観念があまりない。それはきっと、ゲームから釣りを始めたためだ。
その世界では、磯竿5号に玉ウキを付けたり、延べ竿にジェットテンビンを付けたりすることが許される。
そしてそんなクソみたいな状態で、クロダイだのシロギスだのが釣れるから面白い。
そんな僕なので、自分で『イケるかな?』と思ったことは、結構ポンポン行動に移す。
その一つが、フカセ釣りを川釣りに流用することだ。
普通、防波堤とか磯で、グレやクロダイを狙う時の釣法であり、川でするものというイメージはない。
しかし、僕は前々から、川でも十分使えると思っていた。むしろ、適任だと思っていた。
今日はそんなフカセ仕掛けが川でも使えると改めて証明するため、ミミズを持って、川に釣りに行ってきたという記録である。
今日の仕掛け。
磯竿は逆に長すぎて使い辛いため、車に積んであったエギングロッドを持っていった。
また、コイがヒットしてしまった時に備え、PE1号が巻いてある2500番のリールを付けておいた。
その他の仕掛けは以下の通り。
ウキ:自重10g程度のフカセウキ
ハリ:伊勢尼1号
エサ:ミミズちゃん熊太郎
とこんな感じ。
フカセウキはとても高いイメージがあるが、案外別枠のコーナーで在庫処分と称し、498円とかで売っていることも多い。
そんなわけで道具を揃えた僕は、自分の中でアツい川釣りポイントを、順番に攻めることとした。
その1 貯水池
大昔にライギョを釣り上げたポイントだ。
常時、40㎝くらいのコイや、オイカワらしき何かの魚影が濃い。
海に隣接した貯水池ではあるが、コイなどの淡水魚も目立つ不思議なところ。
過去にここでニゴイとイナの姿を見たことがあるので、それらを獲って魚種を増やそうと企んだのだ。
初っ端はこの貯水池。そう決めて僕は車を走らせた。
30分後。
着いて早々まず思った。
『水が全然ないじゃねーか』
渇水とまではいかないが、水深がどう深くみても30㎝程度。いつもより大幅に浅い。
多分干潮だったからだろうなと今は思う。海のそばなのだから、その水量とリンクするよな。
考えても仕方ないので、仕掛けをとっとと作る。ウキ下を頑張って調整すると、25㎝くらいの深さにできた。
案外戦える。僕は早速仕掛けを振り込んだ。
20分後。ここのコンディションは超絶しょっぱかった。
しばらく水面を注視してみたが、イナとかハヤが泳ぐときの波紋も無く、生命反応がかなり薄い。
ここで無理に続けても、無駄にミミズを消費するだけだ。
僕は即行で移動を決めた。
その2 水門
その後は、少し野池を探そうと頑張った。
悪路に突っ込んで車の下を思いっきり擦ったりしながら、探した。
一応それっぽい野池はちらほらあるのだが、見える魚がコイ、コイ、コイ・・・。
せめてまだ釣っていないのがいないと、竿を伸ばす気にもならない。僕はいたずらに車の下を削っただけであった。
さて。次に僕の中でアツいポイントは、海と川の境目にチョコチョコある、あの水門だ。
よくよく観察してみると、イナやハヤ、ヨシノボリやフナ、マハゼなどが多数生息しており、結構にぎやかである。
そこへ突撃してみた。そして発見した。
かつて自分が行っていた時に比べて、超絶汚くなっているそれらを。
何があった?白いアブクが大量に浮かび、水底に溜まっているのはどうみてもヘドロ。
あれだけいた魚たちが、今や全く姿を見せていない。
唯一見つけた生物であるカメも、日光浴をするその背中にギトギトのヘドロが乗っている。
『環境破壊はこんな身近なところにまで及んでいたか』
僕は結構な衝撃と、ちょっぴりの虚無感を覚え、釣竿を車から降ろすことすら無くその場を離れたのだった。
その3 思い出の川。
幼少期、長期休暇の度に、祖父と祖母の家へ遊びに行っていた。
そして飽きもせず、近所の川で魚を釣り続けたものだ。
ハヤ、コイ、フナ、イナetc…
我ながら渋い小学生だと思う。
その思い出の川の存在をふと思い出し、僕はそこへ向かって車を走らせた。
記憶通りなら、閑静な住宅地を流れる川ではあるものの、水は割ときれいだし、水深もある上、アシまで生えている素晴らしい場所のはずだ。
立地場所は、結構な過疎地域。開発はそうそう進んでいまい。
そう楽観していた僕の思いは、川が見えてきたと同時に砕かれた。
季節によって草花の顔ぶれが変わる土手。
今やコンクリートで固められている。
透明度があったハズの水。
今や赤褐色が混ざっており、川底の様子すらわからない。
絶好の隠れ家であったアシ。
もう根こそぎむしり取られていた。
これは怒りなのか哀しみなのか?
それが分かったとして、どこにそれをぶつければ良い?
僕は背中に強めの風を受けながら、棒立ちのまま無心で思い出の川を眺めていた。
ただ、救いはあった。
『あ、魚影が見える!』
イナとコイが大量に生息していたのだ。
環境は一変したものの、まだ住民は残っていた!
急ぎ仕掛けを取り出し、セッティング。
ミミズを付けて、群れのド真ん中に投下してやった。
即、ウキが躍る。
『お、来たんじゃね!』
そう思うと同時に、強めにアワセを入れる。
思いっきり空振り。
でも、僕は嬉しかった。
まだ魚がいたことが。そして、反応が良いことが。
その後も粘って粘って30分。
流れに逆らうようにウキが動く。
これもアタリの一種である。
慎重にアワセを入れてやると、のった。
小さめのハヤだ。
こちらは過去に釣ったことがあるので、ノーカン。
ウキ下を小まめに調整し、またミミズも結構頻繁に変えて、川を隅々まで探る。
5~6m先に魚影があろうとも、フカセなら関係ない。ピンポイントで爆撃できる。
そしてさらに20分後。
ウキが摩訶不思議なダンスを踊った。
これはハヤとは違うアタリだな。
こちらも慎重にアワせると、横に思い切り走られた。
コイを引っ掛けたか?と思ったため、かなり慎重にやり取りを開始する。
ただ、10秒後にはあっさりと寄ってきた。
久しぶりに見たフナであった。
このあたりで胸がいっぱいになったため、納竿とした。
余ったミミズは、自宅の冷暗所で保存してある。週末にまたどっかに行こうかな。
今回は自分の中のホットスポットが根こそぎ様変わりしており、思っていた通りの釣果とは言えなかった。
これは、新しい釣り場を開拓せねばならないな。そう感じた。
今後の展望。そしてまとめ。
もう1つ、今日感じたことがある。
僕の手持ちのカードを使い続ける限り、残りの魚種は届かないということだ。
4月はここで何が釣れる、5月はここで何の回遊がある・・という蓄積はあるし、まだ手を出していないメジャーな魚もいる。
しかし、それらを合わせても良いとこ30種類というくらいだ。
そこからさらに20種類近くとなると、北海道や沖縄、果ては海外まで遠征しなければダメな気がする。
となれば、新たな釣法に手を出さねばならないと思っている。
例えば、僕は磯釣りを一切したことがない。理由は、初期投資が高いから。
フライフィッシングもやったことがない。理由は、ルアーでいいじゃんと思うから。
トローリングはめちゃんこやってみたいので良いにせよ、まだまだ手を出していない釣法は山ほどある。
こうやってこちらの手数を増やさねば、ここから頭打ちだろうなと、今日強く思った。
ただこれは、自分の釣りスキルを伸ばす好機だ。久しぶりに釣りについて『勉強』しようと思えている。
今後このブログはもっと、魚種や釣法において多様化していくのだろう。
そしてそうありたい。
だからこそ、『102種類の魚を釣る』『新たな視点・方法で自然と触れ合う』という根本を忘れないようにしよう。
そうしよう。
―話が大幅に脱線したが、『川におけるフカセ釣り』のまとめは以下の通りだ。
・効果を発揮するのは、魚が群れている地点が足場から遠く、かつサイズが20㎝以上くらいあるとき。
・ウキの自重が10gくらいあると、20m程度の遠投が可能。ただし、飛ばし過ぎると視認がし辛い。
・必要道具は、ウキ止め糸(ゴム)・シモリ玉・フカセウキ・サルカン・針。針は最初からハリスが付いているものを選ぶと楽。
固定観念は案外何も生まない。少しでも行けると思ったら、あらゆる釣法をあらゆる場所でガンガン試してみよう。