第八章 沖永良部島二日目開始
―起きてみれば、風も雨も嘘みたいに止んでいた。
・・・そんなことを期待したが、風だけはやっぱりピューピューの突風であった・・・。(というか滞在中、止んでた時がない)
全員が寝不足&全身の変な痛み&倦怠感を覚えつつも、若さで何とかカバー。
火を起こすのはめんどくさかったので、実は持ってきていたガスコンロを使い、サクッと朝食を作りました。
んで、これをいっちょ前にサンドイッチ。
これだけなのに無茶苦茶美味かった記憶がある。アウトドア料理補正すげぇ。
―さぁ、エナジーはチャージした。夜に寝れるよう、テントも限界まで水けをふいた後、ちゃんと干しといた。準備は万端だ。
この二日目は、夕方までは釣りをせず、それまでに色んな目的を持って島を巡る日と決めた。
今日はいったいどんな『はじめまして』に出会えるのか、楽しみで仕方がない。
そんな一日、スタートです。
※キャンプ場の裏手って、結構荘厳な崖なのです。
第九章 沖永良部放浪記
ということで出発である。鹿児島までは僕がぶっ飛ばしたので、流石に島に着いてからは休ませてもらいやす。
まず目指したのは【昇竜洞】と言う、いわゆる観光洞って場所だ。
キャンプ場から30分くらいかな?実は過去に訪れたことがあるため、同行者二人にその魅力をバリバリ喋りながら、ワイワイとそこへ向かった。
で。
『『『着いたぜ!!!』』』
『『『開いてないぜ!!!』』』
マジかぁー。降水量も結構あったのかぁ・・・・。
こりゃ、やむなしですな。最終日に再び訪れることを誓い、泣く泣く全力で後回し。
第二の目的と言うことで、実は雨でびしょぬれになってしまった寝袋を乾燥させるべく、コインランドリーを探すことに決めた。
―その場所は完全に失念したのだが、確か道路沿いを延々と走っていたところにあった。幸いなことに、布団乾燥サイズのも付いている。
安心して、3つの寝袋をポーンと突っ込み、お金を入れる。
―が。
これは南国クオリティなのか、全く起動しないではないか。800円は、ドブに捨てるにゃちょっと高い。
仕方ないので、『トラブル時はこちらへ↓』みたいな風に、手書きで裏紙に書いてあった番号に電話する僕。
すると、結構早い段階で繋がった。声から察するにおばちゃんとおばあちゃんの間くらいの人で、語り口調はまさに『豪放磊落』。
イメージだけなら、ラピュタに出てくる『ドーラ』である。
『すんませんねぇー!すぐ行きますんで!』とのことで、僕らはそこでしばらく待った。
10分程すると、白い軽トラがコインランドリー店前に止まった。
『先ほどお電話いただいた方ですかね?』と、運転席にいたおばあさんが話しかけてきた。
60歳くらいだろうか?ただ、声も身体も壮健そのものであった。(まさにドーラ)
しっかりと残る歯を見せながら、『お手数おかけしますー!よく止まるんですよー、これも古いんで!』と笑顔で応対してくれる。なんか安心するなぁ。
『実は他のは動くんですよ!紙に書いとくのを忘れとりまして!』
そういいながらちょちょいとネジを外し、お金を回収すると、横のマシンに入れ直してくれた。今度は無事に、元気よく回り始める。
『たまたまですけど、近所の人に持っていこうかなと思って持って出てたんですわ。良かったらどうぞ!お詫びです!』
―と、その人は銀のトレイに乗った何かを差し出してくれた。
それは、まだほんのり温かいコロッケであった。栄養にも人の愛にも飢えていた僕らは、『ありがとうございます!』とがっつく。
・・・これが滅茶苦茶美味かったのですよ・・・。
島のレシピなのか、中にひじきが入っている変わり種。でもそれによってプラスされた海の香り、たまらなく良かったです。(また食いたい!)
―その後ついでに、その方から風呂の情報もGET。聞けば、近くの老人ホームに頼めば、18:00以降とかで入浴できるそうな。
・・・ということで、人の触れ合いや真心の温かさをしかと噛みしめつつ、僕らは次の行程へと移ったのであった。
第十章 轟風と大波とアホ三人
ここで僕らはある仮説を立てた。
『風裏なら、釣りができるんじゃね?』
―風裏の説明はちょいムズいのだが、吹き付ける風が山とかに阻まれた結果、無風になると思われるエリア、みたいな感じである。
そんなワケで、素人三人でアーダコーダと仮説を立てたところ、『住吉漁港?』って場所は多分セーフという結論に至った。
ってことで、釣り具を急ぎちゃっちゃか準備して、アホ三人は意気揚々とそこへ向かったのだ。
そして現実を知る。
波が防波堤を超えているぜぇ!!
―死ぬ。死ぬて。
・・・ってことで、仕方なく付近を探検することに。
すると、心が躍る洞窟を見つけた。
人(170㎝)が入るとこんな感じ。サンゴの死体が堆積した結果できた土壌のため、特徴的な構造をしている。
だからそれっぽい化石も、結構あっさり見つかる。
―本当はもっと奥まで探検したかったけど、ハブとかいたら怖いので、この日は大人しく撤退。
一縷の望みを託して沖泊漁港も見てみたが・・・。
ポセイドンがお怒りだぁ。
・・・死にたくないので、素直に撤退。この日は釣りをすることなく、活動終了です。
その後は教えてもらった老人ホームへ入浴に行き、たまたま貸し切り状態だったのもあって、超絶憩いの時間を満喫した。
サァサ、二日目も終わりです。
楽しい愉しいBBQのお時間じゃい!!!!
第十一章 あらしのよるに
ご飯を炊くのも上手になったもんです。
夜は少し風が止んだので、火起こしはスムーズに完了。南国でBBQという贅沢な時間をエンジョイできました。(終盤の写真しかなかった)
シュラフ(寝袋)もちゃんとふかふか、テントの中もちゃんと乾いて、この日の夜は無茶苦茶快適だったのをよく覚えています―。
『明日こそ晴れるかな』
『明日こそ晴れるよ』
『どこに行こうかな』
『どこに行こうかね』
・・・多分こんなあっさいことを話しながら、僕らは眠りに落ちたのでしょう―。
―つづく
第一部・二部はコチラです↓
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