今週は天候が荒れて釣りになど出れず、また別の集まりがあった関係で、釣行はお休みとした。その代わりに何の記事を書こうかと思ったが、こういうときは魚の話に限る。
そしてテーマはシロギスだ。丁度MさんとのLINEで、シロギスの生態に関する一つの謎や仮説を話したのもあり、調べてまとめるタイミングとしては好機だと思ったからだ。

もちろんシロギスは超絶ポピュラーな釣魚のため、この記事自体は何百番煎じかなんてわからない。だからこそ、ニッチなところまで、かなり頑張って調べてみた。
今日はシロギスの新たな一面や生態などを、3000字で勉強しちゃおうという、そんなお話である。では以下、本題だ。
シロギスの基本情報。

まずは基本的な情報を、掻い摘んでまとめていく。シロギスはスズキ目キス科に属する魚で、キス科自体は日本にあと4種類生息している。
それぞれ紹介すると、まずはアトクギス。沖縄あたりに生息しているそうだ。

続いて、ホシギス。その名の通り、斑点模様が特徴である。(これも琉球諸島あたりの南方に生息する種類らしい)

そしてモトギス。これまた琉球諸島で生息する種だという。

そして、過去に記事にしたこともある希少(になってしまった)種、アオギス。

色々紹介したが、本州でお目にかかれるとしたらシロギスが圧倒的多数で、極めて運が良ければアオギスがまだいるかも、という感じである。
餌は多毛類というイメージが強いが、実は海底で吸い込めるものであれば結構色々捕食するそうで、例えば他にも甲殻類やアミ類の摂餌も確認されるという。
そしてその食性は時期やサイズによってばらつきがあるようで、同一生息域におけるシロギス同士の餌の奪い合いが発生しないための、生態的な工夫という説もあるらしい。
尚、釣りにおいてはほぼ地ケビかアオイソメで問題なく釣れるが、専門的にバカスカ釣りたければ、【チロリ】を用いるのが鉄板とされる。(僕は使ったことないけど)

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余談だが、捕食の仕方は細長い口で餌を吸い込むだけと思っていたが、実際は二段階モーションでイソメなどを食うという。
まずは咥えて砂から引きずり出す。その後、それを吸いこんで捕食する。シロギスは一発目のアタリでヒットすることが少ないと思っていたが、こういう事情があったのか。
そんなシロギスの寿命は思ったより長く、4~5年は生存するという。後ほど詳しく書くが、夏にシロギスが釣れやすいのは、産卵のために浅場へ寄ってくるためだ。
そして冬になると深みに引っ込んでしまい、活性もかなり低下することから、釣りあげることは困難になる。11月が終われば、シーズンは完全にオフとなるだろう。
尚、シロギスが日本の歴史書(文献)にガッツリ登場するのは、江戸時代に書かれた【和漢三才図会】なる書物に遡るという。


和漢三才図会 : 105巻首1巻尾1巻 [34] - 国立国会図書館デジタルコレクション
それによれば【幾須吾(きすご)】と紹介されていることから、地方名という印象のこっちの方が呼称としては早いうちからあり、また定着していた、ということになる。
ちなみにこの「きすご」という響きは、「生直(きすぐ)」という言葉に由来するという説もあり、この言葉の意味は「純朴さ」といった感じだという。
確かにシロギスの身は淡白でクセが無く、どんな料理にもマッチして非常に美味だ。僕は刺身で食うのが好きだが、定番の天ぷらもすごく美味しいので外せない。

【キスの使い方】天ぷらやホイル焼きなど人気レシピ5選!捌き方も♪の人気レシピ・作り方 | DELISH KITCHEN
―というところで、基本的な情報量としては十分だろう。ここからはいよいよ、生活史を中心に、シロギスの更にニッチな情報を紹介しておこうと思う。
釣りのヒントになるかどうかはわからないが、活用は皆様次第ということで、軽い気持ちでお読みくださいませ。
シロギスの生活史 ―主に産卵の周期など―

シロギスの寿命は4~5年と書いたが、具体的にどんな生活をその期間で送っていくのか。それを詳述してみよう。
シロギスの産卵はかなり長いスパンで行われ、大体初夏~晩秋という紹介を散見する。具体的には水温が22℃を超えたら産卵期となり、それを下回ると終わりになるそうだ。*1
産卵数は1日に1,100~59,600個という情報があるが、その精度はよくわからない。とにかくたくさん産むということは伝わってくる。
しかも適性水温による環境下で飼育すれば、毎日産卵するという報告もあった。繁殖力はすごく高いのではないかと思う。まぁ、それ自体の納得感は強いけど。
ちなみに卵は浮遊性で、孵化した稚魚は主にアマモ場を生息場所に選び、群れで生活を行うとのことだった。稚魚は水色の斑点がより鮮やかで、とてもかわいらしい姿↓だ。

サイズが小さい個体ほどアマモ場を選び、サイズが上がれば上がるほど、より開放的な場所を好んで回遊する。この生態を知ったとき、すごく「なるほど!」と思った。
というのも、いわゆる”ピンギス”が多く出るところは、確かにアマモが繁茂していると気付いたためだ。尻川海水浴場しかり、佐波川河口しかり、視認は容易だ。
逆に型が良いと思っていた釣り場は、アマモが生えていることもあるが、例えば岩礁地帯があったり、潮通しがとてもよかったり、そんな共通点を感じられる。
生態を紐解くことで、一つ謎が解けた感じがして、すごくワクワクしている。
尚、30㎝オーバーの巨大なキスは「尺ギス」と呼ばれ、それこそ2m超えの人を探すかの如く稀有な存在だ。それゆえに全投げ釣り派垂涎の対象魚ともいえる。

そもそもが超希少なので狙って釣る方法は皆無に等しいのだが、一応ある程度のテクニックは体系化されている感じだった。以下、簡単に箇条書きする。
① 夜間、ひたすら置き竿で狙う
② 餌は極太なアオイソメか本虫の一本掛け
③ 着水時になるべく音を出さないよう、仕掛けをゆっくりと振り込む
あとは昔釣り雑誌で読んだ話だと、日本海側で、秋や冬の方が、やや成果が出ているという感じだった。とはいえやはり運ゲーなので、出会えたらラッキーという話だろう。
僕もそんな日を夢見たいと思う。
終わりに。
ということで、3000字程度できっちりとまとめることができ、仕事柄結構嬉しく思う。やはりこういう調べ物は好きだ。
シロギスを知らない釣り人の方が珍しいとは思うが、その中でもここに「そうなんだ!」と思える話が書いてあれば、大袈裟だが書いた身としても幸甚である。
今年もう1回くらい、シロギスを狙えないだろうかな。そんなことを思いながら、今日はこの辺でおしまいとする。
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