ここ1か月、余暇など全く取らず仕事にフルベットして過ごしてきた。正直、頑張ったよなという思いも、結果が出つつあるという思いも、無くはない。
ただそれ以上に、もう少し奮わないものかという思いもあるし、自分の能力はここまでなのかもなという思いもある。つまり、心身ともに結構疲労しているっぽいのだ。
連勤日数も、半日とかそういうのを合わせれば、カレンダー1枚分を超えている。さすがに今日くらいは、思い切り息を抜きたいなと、自然に思った。
現状から、物理的に距離を取るだけじゃ足りない。時間軸としても距離を取って初めて、僕はある種の”くつろぎ”を得られるのではないか。
そう思ったので、今回は僕の個人的記憶、すなわち思い出が色濃く残る釣り場を選び、そこへ釣りに行ってみた。そんなエモい話、以下どうぞ。
実は子供のころから通っている佐波川河口。

まず向かったのは、佐波川河口だ。駐車場になっているゾーンの脇から通り抜けて、坂を下り、空き地になっている場所に車を停めて、そこからは徒歩でポイントに向かう。
ここにはどんな思い出があるか。一番古い記憶だと、中学1年生か2年生の頃に遡る。美術の夏休みの宿題に、風景画を描いてくる、というのがあったのだ。
僕が行きたいと言ったのか、それとも父親のセンスなのかはもうわからないが、僕はこの橋を見渡せる場所に座り、我流でスケッチを取り、筆で色を塗ったのを覚えている。
その絵はもう処分されたか、あるいは押入れに封印されているかは定かではないが、この場所で静かに風景そのものを見つめた時間は、今でも満足感とともに覚えている。
―他にも覚えている光景としては、鍬を担ぐ祖父の背中というのがある。階段を下り、砂浜に立ち、担いだそれを優しく振り下ろし、サッと砂を掬う。
すると、親指の先がすっぽり埋まりそうなサイズの穴が見つかった。そこに持参した塩を入れると、何かが穴の底からせりあがり、そして飛び出したそれを採取する・・
そう、マテガイ採りだ。もう10年以上やっていないが、1年に1回くらいの楽しみともいえるこの遊びは、祖父母の家に遊びに行く度、僕のお目当ての時間となっていた。
いやー、エモい、エモい。過去の記憶がどんどん蘇ってくる。「風立ちぬ」のラストシーンみたく、僕の顔はこっそり中学生のそれに戻っていたのではないだろうか?
実際、釣り場に向かっていると、頭の中に【鳥の詩】が流れてきた。すごくマッチする脳内選曲だと思う。Airにハマって大号泣した高2の頃から、もう17年経つのか…。
さて、5分程度の散歩の果て、釣り場に到着。
あとは仕掛けを振り込んで、のんびりとアタリを待つだけだ。平和でエモい時間は、むしろここからが本番なのだ。天気は快晴、気持ちがいいね~。



…。
写真では伝わりづらいが、お分かりいただけただろうか?
実はこの日、防府市は台風接近中といっても信じられるくらいの爆風だったのだ。
アタリなんかわかるわけもなく、餌の入った木箱さえ吹き飛びそうなほどの暴力的な風を受け続け、命の危険も覚えながら、仕掛けを振り込む始末…。
エモい気分になんか、浸れねぇよ!!!!
・・・早々に企画は崩壊しかけているが、気合を入れて地ケビを50g(つまり750円分)も買ってしまったので、それを捨てて帰るなんてマジでとんでもない。罰が当たる。
もうこの際、フグでもいい。なんか釣れろ!そのモードでひたすら手元に伝わるアタリを待った。まぁ実を言うと、アタリは一投目から出てはいたのだが…。
しかし、全くヒットしない。フグを真っ先に疑ったが、ぶっちゃけフグならなんだかんだで釣れる。また、ハリスをギザギザにされる。ただ今日は、そういう類ではない。
餌が5mmくらいになるまで嚙みちぎられ、それでいて針掛かりしない。相当な雑魚なのだろうと思っていたが、その予感は的中した。
マハゼだ。しかも人差し指くらいのサイズ!これはさすがに持って帰れない。なのでサッと針を外してとっととリリースした。

実を言うと、本命はシロギスのつもりでやってきている。正直この佐波川河口の生息数は相当だと思っているので、簡単に釣れるだろうと高をくくっていた。
だが、この日はフグではなくハゼの猛攻に遭い、アタリはあるくせにほとんどヒットせず、餌がブチブチちぎられるというなかなかストレスフルな有様だった。
もちろんフグの生息もあり、そちらにもちゃんと針を2本くらい持っていかれた。幸いにして仕掛けのストックはたくさんあるため、その辺りは別にいいのだが‥。
様子が変わったのは、到着して30分後だ。相変わらず爆風でアタリが判らない中、竿先が思い切り叩かれるように引っ張られた。これはシロギス、来たか!?
慎重に寄せると、細い魚影が見えた。-しかしシロギスにしては体高があるし、身体もどこか銀色をしている‥?取り込んでみて、結構驚いた。
僕が人生で釣った(正式和名で言うところの)スズキの最小サイズを更新するコッパだったのだ!

しかも餌を丸呑みして、針が鰓を傷つけている始末‥。申し訳ないがナイフで締めて、キープすることとした。
ちなみにその後も、マハゼ(笑)のアタリは止まることなく出続けた。しかし嫌がらせのように、釣れば釣るほどサイズが下がっていき、小指くらいのものまで釣れる始末!!



釣れども釣れども、我が釣果一考に充実せず。相変わらずの爆風に疲れたのもあり、大体滞在1時間もせず、佐波川河口を撤収することに決めた。
しかしこれで帰ってしまったら、僕にはエモが足りないままだ。実際爆風に身を晒しながら、ついつい仕事のことを考えてしまったもんな。
ということで、実はこの日、もう1か所行くところを決めてあった。そしてその場所は、僕の29年近い期間の思い出が詰まった場所でもある。
今度こそ僕は心の底からエモい気持ちになれるだろうか。あの頃を思い出して、色んなものを浄化できるだろうか。
・・・そう思いながら、僕は佐波川河口を出発するのであった。
続く!
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