これらの続きから。
pochihiko-inunosuke.hatenablog.com
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阿多田島という島で24時間、自給自足&釣りを行うというファンキーな釣行に繰り出した僕たち。
正午の時点で食事はムラソイ4匹、夕方までの時点でカメノテと磯に生えていた何かの味噌汁をすするという話までが前回のお話。
寒波襲来の中、夜の釣り。一体何がどうなり終幕となるのか。
最終部、振り返ってみよう・・・。
厳寒の中。
マズメ時が訪れた。魚群の回遊は無いものの、何かが跳ねる音が聞こえる。
とりあえず狂ったように撒き餌を投下。
防波堤には僕たち二人だけ。そして起床時間は30時間を超え、精神的なストッパーなどとっくに吹き飛んでいることから、仕掛けも大幅に雑となる。
僕はボウズ逃れという万能な仕掛けと、胴付を用意。積極的に誘うのではなく、もはや潮の流れに全てを任せていた。
友人は一縷の望みをかけてイカ仕掛けと、僕よりタナが深い胴付を用意していた。
もはや付きっ切りでシャクリを繰り返す余力は共に無く、夕日に照らされる水面と、そこを揺蕩う電気ウキを死んだ目で眺めるのみであった。
情け容赦なく時は過ぎ、完全に日が沈む。
正直この時点で、フェリーの最終便に駆け込んで、緊急離脱することも考えた。
が、車を走らせる気力も無く・・・・。
最終便は重低音を発しながら、僕たちの遥か彼方へ向かって出航していった。
でも、神様は僕たちを完全に見放してはいなかったらしい。ここで僕の竿が大きくしなる。
おいおい、マジか。慌ててアワせて即ランディング!
写真を撮り忘れたが、結果は15㎝くらいのカサゴであった。
マジか、わや嬉しい!しかし、釣り上げた刹那、崩れ落ちる僕の膝。
どうやら喜びと同時に、積もり積もった疲労も表面化したらしい・・。
時に起床時間は33時間。僕はいよいよ限界だった。つーことで、ここで友人の車を借りて仮眠を取ることに。
1時間後。
友人と交代して釣りを続行。
僕が寝ている間、彼は野良猫にキビナゴを餌付けしていた。まぁ、ね。ぶッ込み仕掛けとかもうやらんからね。疲れたし。
完全なる闇でも長時間露光をしたら、まるで昼間みたいに写る。スゲー。
ってことをしなければ体がもたないくらい疲れ果てていたんだな、と。
しばらくはこうしてリビングデッドかのように時間を過ごしていた。
AM3:00頃。
僕は最後の博打に出た。携帯イジイジしていたら出てきた仕掛けを、我流にアレンジしたのだ。
それが、胴付仕掛けのオモリをブレード付きルアーに変えて、ウキを取り払うというもの。
言うなれば、胴付ルアー仕掛け!雑!
よ~し、メバルとか来ないかな!正直諦めていた自分を誤魔化すようにして、仕掛け投入。
3投目であった。
パツン。
あっ
・・・
さようなら、色々・・・。
1500円くらいの品々が海底へと還っていった。
もう疲れた。僕はそのまま防波堤に寝転がり、夜空に瞬く星を数えていた。
そして気付けば眠りに落ちていた。起きたらフェリーに乗ってたらいいのに。
そんなことを考えながら。
夜明け前。
僕は友人に起こされた。
聞くと、彼もカサゴを執念で釣り上げたらしい。ということで、調理して帰ろうという話であった。
時刻はAM4:00。ここから魂の調理を始めるとしよう・・・。
海の恵み。
ササッと内臓を取り、衣をまぶし、熱した油へポーン。
最後は天ぷらでいただきませう。
これがまぁ・・・。
美味いのです・・・。
美味いのです・・・。
僕は二度揚げ三度揚げをし、骨まで食べた。勿論頭蓋骨も、だ。余すことなく味わおうと思った。
これは命に対する礼儀もあるが、生物としての本能だとも感じる。
ともかく僕たちは美味しくカサゴの天ぷらを完食し、お片付けを始めるのであった。
帰路。
AM6:00。全ての片づけを終えた僕たちは、フェリーの到着を待っていた。
トイレの下りだが、実を言うと僕たちは二人とも24時間ウ○コが出なかった(便意すら来ていない)ので、トイレに困ること皆無というオチである。
さて、そんなこんなしているうちに、フェリーが到着。迷わず乗船し、本州へと向かうのであった。
恙なく到着した後、僕たちはコンビニへ行った。迷わず唐揚げを頼んで、かじりつくようにして食べた。
鳥の脂が五臓六腑を通り越し、骨の髄まで沁みてくる。
ただいま文明。また来るよ阿多田島。
振り返れば実りの多い釣行であった。
反省と感想を纏めると・・・。
まず何が反省か。
冬に行ったことは懺悔するくらいの過ちであった。
早くて5月くらいの気温が無いと、精神的にも体力的にも大きく削られるし、釣果も芳しくない。
では春になったらもう一度やるかと言ったら・・。さすがにその時期になったらやるかもなぁ。ただ、5月までは待ちたいところ。
さて、次の反省点。それは、餌を買い過ぎた点にあると思う。
最終的に餌をカウントしてみると、全体の60%くらいは余っていたと感じる。
全部を半分にしても、多分事足りる。それは春であっても夏であっても同じだろう。
適量は青虫150g、砂虫50g、本虫50g、タエビとモエビは50gずつ、撒き餌は1kgくらいで妥当ではないだろうか。
こればかりは暖かくなってから検証しないと、何とも言い難い点ではある。
しかし、経験として得られたものは大きい。
まず、日常生活の有難味が骨身にしみて感じられた。
電気が点くと嬉しい。水が出るのも嬉しい。あって当然ではなく、尊くて有難い、文明の恩恵なんだなと強く感じる。
帰ってからというもの、ご飯が美味しくて仕方がない。よく考えれば、今回の阿多田島滞在時において、総摂取カロリーは相当少ないハズ。
○ンコが出なくて当然である。
あと、実は憧れていた24時間フィッシングが出来たことは、これまた大きな収穫だ。
経験値としてこれを持っている釣り人は何人いるだろうか。そういう意味でも良い経験であった。
ということで節目の100記事目。
メッセージ色が強くなってしまったが、まぁいいだろう。
今後の展望としては、春がすぐそこまで来ている以上、魚種を増やすことにフォーカスせねばと考えている。
ターゲットはいる。問題は実行するかどうかだけ。
ということでこれからも、ごゆるりと楽しんでいただければ、僕としても幸せである。
~完~