前回と前々回のあらすじ
前回と前々回の記事を読んでクレメンス
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ガチ目の登山を終えた僕に、充足感と疲労感が込み上げてきた。何か一つ大きな仕事を成し遂げた気分だ。爽快である。
―だがここで、僕のメタが、僕にこう問うた。
「お前は登山⛰をするために野島に来たのか?」
・・・答えは考えるまでもない。はっきりと否である。(楽しかったけど)
あえて何が釣れるかという情報を持たず、俺のぬし釣りの本分に立ち返り、何かが釣れればそれでいいと割り切り、楽しむ。
大げさだが、そのために俺はここまで来たはずなのである!そう思うと、元気が出てきた。昼食も食わず、いよいよメインの目的を果たすべく、海へと歩みを進める。
三田尻に向けた最後の船が出港するまで、この時点で残り2時間弱。十分だ。きっと。そう言い聞かせて、僕たちは防波堤を目指すのであった。
第七章:野島釣行開始
下山後に目指したのは、こちらの防波堤だ。聞いたところ、水深がとてもあり、またロックフィッシュの生息もかなり多いのだという。
本来はアジの聖地なのだが、今年は何かしらの異常が起きているのか、とんと報告が上がっていないそうだ。ネタバレするが、この日もその魚影は1つも見えなかった。
行きしなに漁港内を観察すると、20~30㎝くらいのクロダイが泳いでいるのが見えた。しかしさすが賢い魚種。イソメを放っても、近づくだけで、決して食わなかった。
そんな様子を確認してからは、猫に尾行されつつ、てくてくと防波堤へ向かう。洗濯機から出した後くらい、シャツが汗で濡れている。何なら、寒いとさえ思える。
そんなことを思いながら防波堤へ行ってみると、ウマヅラハギがクラゲをお食事中であった。陸からはなかなかみられない光景。「島に来たな!」と実感する。
岸壁にはスズメダイとキュウセンが大量に群れており、オキアミなんかを投下したら一撃で奪い去られることは明白である。一方、フグの生息は確認できなかった。
―さて。もっとじっくり観察したいところだが、なにせ時間が無い。とっとと釣果を得なければ、Mさんにも申し訳ないし、何より来た甲斐が無い。
木の枝や葉っぱがところどころに付いたままのロッドケースを下ろし、いよいよタックルの準備に取り掛かるのであった。
第八章:野島に潜む魚たち
とはいえ事前に大体作っておいたので、2ピースの竿を接続して、ラインを通すだけで完成となった。
この日の作戦として、僕はとりあえず1つは投げ竿として使用し、もう1つは穴釣りでロックフィッシュの数を重ねることにした。
Mさんも序盤は穴釣りに絞って、釣果を獲る、とのことであった。ちなみに餌はサンマの切り身。僕も拝借し、待望の一匹目を狙う。
―落とし込んでみれば、アタリはやはり頻発した。雑魚に用はないので餌のサイズは一切下げていないが、活性はすごく高い。昼間なのに、野島、すげぇぜ。
とはいえノーヒットが続いてちょっと飽きたので、持参したアオイソメに付け替えて、とりあえずの一匹を狙う。そして最初のヒットは、その数分後に訪れた。
そう、ササノハベラだ。(ちなみに色々調べたが、ホシササノハベラの方っぽい)
ぱっくりとイソメにアタックしている。引きは結構強いので僕は嫌いではないのだが、こいつは食っても美味とまではいかないので、即刻リリースした。
―余談だが、かつてこのブログでは、イソベラとササノハベラを別種として紹介した記憶があると思い、調べ直すと、やはりそうであった。これは結構問題である。
何故かというと、ササノハベラのいわゆる通称がイソベラであり、つまりほぼ例外なく同種であるから、である。
となればダブルカウントは割り引いて、かつてのウグイみたく、また1種引かねばならないのかもしれない\(^o^)/
ちょっとじっくり見直してみて、実はホシササノハベラとアカササノハベラの両方を釣っていたから、なんだかんだでチャラにならないか、今度調べてみよっと。
・・そんなことをしていると、Mさんが興奮した様子で、灯台の先辺りを指さしていた。「何かが入ってきましたよ!!!!」
すると、何か大きめの魚がワサワサと大挙して、防波堤の外側を撫でるように通っていくのが見えた。Mさんは早速ジグに付け替えて放り込んでいた!
ただ、僕は回遊性の魚にあまり心が躍らない偏屈野郎なので、それはそれとして、再び穴釣りに精を出すのであった。(そんときはボラだと思ってた。実際は違ったが)
投げ竿の方は、中関埠頭などが比較にならないくらいの水深と岩礁帯に手こずり、早々にリーダーごとロストするし、アタリも皆無で、心が折れかけていた。
具体的な水深はどれくらいあるのか調べてみたが、過去に調査した記録はないとのことで、正確なそれは不明。
体感値だが、中関埠頭で投げ釣りをするときと、着底までの時間に4~5倍くらいの開きがあるように感じた。
しかしながら、それはラインの出が止まるまでの時間という意味なので、水深があると波の影響を受けて、普段より多めに糸が出る、という計算も必要になる。
つまりめんどくさいので、これ以上は考えない!僕は高校で物理など習っていないのだ!!!!!!
てなわけで、カサゴを追加。ワンチャン、キジハタとかおらんかなとゴツゴツ叩いてみたが、結局2匹ほどカサゴを釣っただけ、であった。
そしてふと時計を見ると、最終便出港まで残り30分であり、別の方を見ると、猫がMさん持参のサンマを我が物顔で食っていたのであった・・・・・。
―そんな僕の、野島最後の獲物は・・・
でかめのササノハベラであった。やっぱ引きが強い!たのちい!!!
・・というところで、残念ながら僕はここでタイムアップ。Mさんは朝まで残るストロングスタイルのため、防波堤上の別れとなった。
ちなみに、防波堤にざぶざぶと入ってきた群れの正体は何だったか。それは、ヤズだった。(画面中央付近。見辛いけど)
どのみち僕の手持ちの仕掛けではどうにもならない相手だ。野島に来られる際は、懐刀として、こういうヤツと戦える釣り具を持っておいた方が良いかもしれない。
最終章:さらば野島、また来る日まで。
足早に船着き場へ向かいながら、この日のことを思い返していた。野外訓練、豊富な魚種、大量のネコ、そしてやり残した宿題の数々。
一度で楽しみ切ることなど不可能だ。だから今度は、キャンプ道具を持参し、一泊してここの自然に浸りきってやろうと、意を決した次第である。
ところで野島には、簡易宿泊所なる、古民家を改装した面白そうな宿泊施設がある。
僕みたいにどっかの離島のキャンプ場で7泊以上野宿した経験があるアホには、こんな上等なのは要らんけど、家族や彼女を釣れていくなら、検討したい宿だと思う。
―その後なんとか時間に間に合って乗船したが、「あれ?もう一人の方は?」と訝られた。やはり完徹派は少数なのか。でしょうな。
「朝までされるそうっす」と答え、パンパンのふくらはぎを引きずり、客間に入る。席について、改めて一息ついた。
左の席を見ると、作業服のお兄さんがスマホを一生懸命触っている。右手にある座敷を見ると、作業服のお爺さんが肘を枕に爆睡している。あぁ、平和だ。
野島を離れ、三田尻に着くまでの間、思い出を振り返るために動画編集をしていた。あんだけ濃かった時間なのに、ただ切り貼りしただけだと、4分になってしまった。
「楽しいときって、なんであっという間なんだろうな」
というFFⅤのバッツのセリフが頭に響いた。その通りだな、ホント。だからまた来たい。心の底からそう思っている。
―ただ、また行きたい島、自分の中にいくつもあるんですよねー。とびしま海道、宮島、阿多田島、沖永良部島、そして、野島。
ぶっちゃけ僕の財力では厳しい。あまりにも難しい。元気玉みたいに、オラに財力を分けてほしい。その方法を探ることが、現在の最も大きい課題である。
・・・【夢と金】、4周目に入るとしよう。
というわけで最終章はここまで。4時間の滞在なのに、全部で1万3000字くらいの大作になってもた。それでもお読みいただき、ありがとうございました!!!
※野島釣行動画も作成しましたぜぁ
補講:野島に全く関係ない、ベラを巡る奇跡の小話
―記事を書き終えてから調べてみたが、残念ながら、黎明期に萩で釣ったヤツも、下蒲刈島で釣ったヤツも、今回のヤツも、全部同じホシササノハベラのようであった。
だから、イソベラとササノハベラを別種だと知らなかった頃の記録はチャラになり、ここにきてまさかの魚種が1種後退・・・
と思っていたら、ふと気付いたことがある。
それは、下蒲刈島で釣ったこいつは、いわゆるキュウセンでは”ない”のではないか、という疑問だ。
(右上のやつね)
WEB魚図鑑のベラ科を見ていて気付いたのだが、コイツは【ホンベラ】という種のようなのだ↓
キュウセンと見比べると、その差は結構はっきり出ている。気付けなかった自分が少し不思議なくらい、別物に見える。
・・・となると、話が変わるじゃん。
僕はササノハベラとイソベラを別種としてカウントしていたから、同じ魚種なのに2種類分として計上していた。だからこれはナシにして、-1種になる。
しかし、本来は別種であるホンベラとキュウセンを同一種と考えて1回しかカウントしていなかったので、こちらは改めて計上し、+1種になる。
後はただの算数だ。つまりベラ科の中だけで色々とつじつまが合って、結局魚種を減らす必要も増やす必要もなくなった!なんと無駄な論理クイズだ!
自分が思っている以上に、魚種は多種多様、種々雑多なのだと、改めて思わされた。一度釣った魚かどうか、ちょっと立ち止まって分析する好奇心、思い出さんとな。
・・・・ということで今日はこの辺でッ!
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