俺のぬし釣り

山口と広島をメインに、102種類の魚を釣るべく我流釣りをエンジョイしまくるブログ。(たまにキャンプにもいく)

【もはや壮大な】大好きだからこそ語りたい。『オーロラサーモン』という神サーモンのドラマを。【歴史ドラマ】

僕は『オーロラサーモン』が大好きだ。とても大好きで、たかくらに行ったときには100%注文するし、たまに自分で買って、刺身にしたり炒めたりして食っている。

 

しかし、ふと立ち止まると、僕は食材としての、あるいは美味いサーモンとしてのそれしか、知識を持ちえていないことに気が付いた。

事業のご案内 | オーシャン貿易株式会社


本当に好きなら、本当に愛があるなら、もっと深く、それこそ沿革を含めてオーロラサーモンを語れてもいいはずだ。

 

たまたま僕は、塾講師をやっている。歴史の授業も担当している。エピソードやストーリーをレクチャーに落とし込むのは、なんだかんだでそこそこ得意なのだ。

 

ということで今日は、『オーロラサーモン』に纏わるドラマを、なるべく要点を絞って、つまり概論として、ザクっとまとめられればと思う

 

職業スキルの無駄遣い?では以下、始まり、始まりである。

 

 

『オーロラサーモン』とはなにか?

オーロラサーモン(丸) 【業務用食材の仕入れなら八面六臂】

 

まずはオーロラサーモンとは何かを、ざっくりまとめておこう。死ぬほど乱暴に言えば、「北緯70度以上の場所で養殖されている、ブランドのタイセイヨウサケ」だ。

 

オーシャン貿易株式会社と、ノルウェーの老舗・レロイ社の協同事業としてスタートし、2007年から流通が始まった、とのこと。

 

このオーロラサーモンだが、非常に徹底した、なんなら狂気すら覚える程の管理体制で養殖と輸入が行われている。それがあの美味の秘訣のようだ。

 

まずそもそも、養殖地のトロムソという場所がそもそも厳寒エリアであり、冬が厳しく、夏は短い。それこそ、”オーロラ”も見える場所だという。

オーロラサーモン | 日本レロイ


そのため成長もゆっくりであり、通常のそれよりも3ヶ月ほどは、出荷サイズに達するまで、余分に要するという。

 

そして徹底してこだわり抜かれているのが、飼育環境だ。

 

まず、ノルウェーの他地域の養殖場と比べると、生け簀が約三分の一kg/㎡ほどの密度となっている。これはつまり、サーモン1匹1匹が広々と泳げるということだ。

 

そしてさっきも書いたが管理体制はもはや狂気で、熟達した職人が水中カメラを使って始終生け簀を観察し、餌の量などをコントロールしているのだという。

 

だが、セールスポイントはまだある。よく考えれば異常だと思うのだが、オーロラサーモンは日本に空輸で届くまで、一度も冷凍されないのがウリだ。

 

ノルウェーで月曜に水揚げされたオーロラサーモンは、フィンランドヘルシンキを経由し、なんと直通便で運ばれ、水曜日には日本のスーパーに並ぶのだ。

 

鮮度を意地でも落とさないため、通関ルートさえも交渉の末に独自の物を用意しているという。本当に、狂気だ。だが、だからこそあの旨さかと思うと、感動を覚える。

 

余談だが、オーロラサーモン開発の功労者・オーシャン貿易の現会長、米田多智夫氏は、「一生車椅子」の怪我を負いながらも復活を遂げるほど、身体が頑丈である

diamond.jp

 

狂気こそ強い身体に宿るんだなと、そんな感動も覚えている。

 

僕らの食卓にオーロラサーモンが届くまでのドラマを紐解く。


オーロラサーモンが誕生するまでに経緯はなんなのか。気になって調べていく内に、プロジェクトXみたいな壮大なドラマが浮かび上がってきた。

 

なるべく背景まで合わせて解説できればと思うが、何か差異があったらお伝えいただけるとありがたし。

 

まずはそもそもとして、ノルウェー水産業の歴史について、ざっくりと書いておきたい。

 

ノルウェーは地理的特徴を見ても、元々水産業が盛んな国であったという。しかし1960年代、突如としてある大きな危機を迎えることになる。

 

それは乱獲による水産資源、特にニシンの激減だ。世界大戦による中断や、漁船の技術の向上により、”狂ったように”漁師が漁獲を続けたことが、その原因だという。

 

このことはグラフにも現れており、「海からニシンが消えた」と言われても、決して大げさでは無いことが、十分読み取れる。

「魚はどこに消えた?」 急がれる資源管理 かつて北海道では100万トン近く獲れたニシン Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン)

 

・・・その後は資源保護のために規制が制定されたり、また排他的経済水域が定められたりすることによって、1970年代より漁業は大きな転換を迫られることになったのだ。

 

しかしノルウェーには、他にも地理的な武器があった。長い海岸線と、フィヨルドが形成した複雑な地形。そう、養殖業にそもそも土地が向いているのだ。

ノルウェーの観光|北欧観光ガイド|阪急交通社

 

ひたすら取る漁業ではなく、育てて管理し、持続可能な漁業を目指す。当初は漁師たちからの反発を受けたものの、成果が出るにつれ、国としてまとまっていったそうだ。


サーモンの養殖も、元々はそのひとつだったそうだ。そしてオーシャン貿易株式会社が、老舗のレロイ社と提携したのは、1990年代半ばのこと。

 

その際なんとサーモン専用の空輸便を開通させ、北欧から鮮度の良い食材を取り寄せるパイオニアとなったのだ。市場シェアも独占し、前途は洋々でしかない出だしである。

 

―しかしながら2000年代になると、他の企業も追随を始め、競争が激化、市場シェアも奪い奪われ、レッドオーシャン状態になっていく。

 

ここにきてさらに逆風となったのが、地球温暖化だ。真夏になれば北欧でも水温が上昇し、サーモン自体の質や鮮度が低下。それに伴うクレームも入ってきたという。

 

当時社長だった米田氏は、その状況に、流石に苦心したのだという。その際に彼が出した決断は、「緯度がさらに高いところなら、解決できるのでは」というアイデアだ。

 

確かに緯度が高ければ、真夏でも気温・水温が猛烈に上がることは無い。サーモンにとって最高の環境が常にあり、だからこそ安定して養殖と供給ができる。

 

しかしある種未開の地である北極エリアに養殖場を開設など前代未聞だ。当然ながら、「できっこないww」という声も多かったとのこと。

 

ただ、ノルウェーに在るレロイ社はその声を真摯に受け止めて、現地の調査を開始するなど、計画は逆風の中で着実に動き始めていた。

 

その風向きが変わるのは2003年だ。競合に”敗れた”養殖場とライセンスが次々と市場に出回るようになり、ノルウェーでのそれも、入手可能になったそうだ。

 

米田氏も早速現地へ飛び、レロイ社の代表と実際に北極エリアの景観を目の当たりにすることで、その恵まれた環境と、事業の成功を確信したという。

 

そしてこれが、協同事業としてのオーロラサーモンの始まりになったのだ。執念と偶然と情熱が噛み合って生まれた奇跡の魚。そう呼んでも良い気がする。

 

日本人の口に合うよう徹底的に管理された餌を始めとした膨大な努力と、これ以上なく恵まれた環境。誰の舌をも満足させるサーモンが生まれるのは、至極当然のことだ。

 

しかし問題はまだあった。それは物流だ。南部と違い、北部となればやはり、搬送の手段もまた未開拓だったのだ。

 

陸路で運ぶと時間が掛かり過ぎるし、空輸はコスト面で非現実的と、北極エリアからサーモンを鮮度よく日本に運ぶ術が存在しなかった。これが大きな課題だった。

 

どれだけいいものを作ろうが、届いた時点で質が下がっていれば、話にならない。作ったものは良い状態で届かなければ、シビアだが意味は無いのだ。

 

ここの突破口が開けるのもまた、偶然であった。2000年代に、具体的な日付はわからなかったが、フィンランド航空が日本向けの旅客便を開始したのだ。

 

つまり、「空輸の手段さえあれば」という状況下に、「空輸便ができた」わけなので、まさに渡りに船。月曜水揚げ➡水曜店頭という奇跡のルートは、ここからできたのだ。

 

一方米田氏は、困難な交渉を辛抱強く繰り返していた。それは、通関だ。手続きの間はたとえ生鮮食品だろうが外で待機という、当時はすごい状況だったという。

 

どれだけ高速で運んできても、この待機時間で鮮度が落ちることは明白。それを陳情しても、「たかが食品w」とでも思われたのか、誰も耳を貸さなかったそうである。

 

法律が絡む案件だけに交渉は難航したそうだが、時の国交大臣(誰かは不明)がその提案に真摯に向き合ってくれたことが突破口となり、交渉と調整はそこから一気に進展。

 

時系列はよくわからないが、空輸ルートの確保と同時に、サーモンを新鮮なまま輸入する方法が構築されたことにより、本当に”奇跡の”サーモンが生まれたのだ。

 

そんなオーロラサーモンの商標登録がなされたのは2007年のこと。つまり今年はオーロラサーモン17周年に当たることとなる。

www.oceantrading.co.jp

 

僕が呑気にモンハンに興じていた裏でこんなドラマが起きていたとは。まさに現実は小説より奇なりという言葉が似合う話だと思えてならない。

 

終わりに:うまし、サーモン。

 

ということで、スーパーでノルウェーサーモンを買ってきた。昔紹介した塩締めで、臭みをさらに削り、美味しくいただくことにする。

 

これはオーロラサーモンなのか、単にノルウェーで養殖されたサーモンなのか、表記ゆれが激しく、わからない。商標利用の関係で色々あるのだろうか。

 

ただ、思いを馳せるだけならこれでも十分だ。狂気と情熱が届けてくれたサーモンの味を堪能する。

 

さっぱりした脂の味わい、とろけるような歯ざわり、全てがやっぱり最高で、幸せだった。バーナーで炙りたいし、マヨネーズもかけたいし、寿司にもしたい。

 

―やっぱ寿司屋に行って、諸々賞味したいなぁ。たかくら、久しぶりに行ってみようかな。

 

ということで所要時間が過去最長レベルでクッソ掛かったオーロラサーモンのドラマ、今日はこの辺で。

 

参考サイト・資料まとめ。

www.oceantrading.co.jp

 

www.oceantrading.co.jp

 

www.leroyseafood.com

 

www.leroy.co.jp

 

www.zukan-bouz.com

 

サケ科魚類のプロファイル-9    タイセイヨウサケ

https://www.fra.go.jp/shigen/salmon/publications/files/srr005_p33-35.pdf

 

times.seafoodlegacy.com

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